2017年4月6日
復興大臣 今村雅弘 殿
日本環境会議 福島原発事故賠償問題研究会
代表:吉村良一(立命館大学教授)
抗議声明
各種報道によると、貴職が4日の閣議後会見で、東京電力福島第一原発事故による「自主避難者」について、「本人の責任でしょう。(不服なら)裁判でも何でもやればいいじゃないか」という趣旨の発言をしたとされます。当研究会は2013年12月から、事故被害の救済のあり方を継続的に研究してきました。その研究成果を踏まえれば、貴職のこの発言を次の理由から到底受け入れることはできません。
第1に、「自主避難者」は政府指示に基づいて避難をしたわけではありませんが、原発事故によって余儀なくされた避難者であることには変わりありません。事故直後の原発の爆発や放射線被ばくに対する恐怖、不安により避難を選択したこと、そして現在も避難を継続していることには、少なくとも一定の範囲で合理的な理由があると考えられます(なお、避難をしなかった、あるいは事故後ほどなく帰還した「滞在者」にも、上記の恐怖、不安は共通するものです)。したがって、「自主避難」という選択は「本人の(自己)責任」に帰すべきものではありません。
第2に、原発避難者集団訴訟で2017年3月17日に前橋地裁が出した判決は、「自主避難者」に対する賠償と、国の法的責任を認めました。政府としてもこの判決を重く受け止め、事故被害者に対する賠償や支援策の打ち切りを見直すべきです。
以上の理由により、貴職の上記発言はおよそ看過できるものではなく、強く抗議いたします。
本件に関する問い合わせ先
吉村良一
立命館大学・法科大学院
〒604-8520 京都市中京区西ノ京朱雀1