当研究会は、福島原発事故の被害回復と地域再生について、福島県弁護士会「原子力発電所事故対策プロジェクトチーム」(委員長:渡辺淑彦弁護士)との共同 研究を進めています。原子力損害賠償の実務に関する豊富な知見を踏まえ、社会学、経済学、法学などの研究者が参加して、学際的な共同研究をめざします。
共同研究の主要な課題は次の通りです。
- 国の原子力損賠賠償紛争審査会が策定した中間指針(2011年8月5日)では捉えきれていない原発事故被災地の実情を踏まえ、原子力損害賠償の課題について、実務家の蓄積を整理しつつ理論的検討を行なうこと
- 被害者救済、住民の生活再建、および長期的視点に立った地域再生の実現に向け、政策提言を行なうこと
現在、福島県川内村を対象に、避難者・帰村者からの聞き取り調査を行ない、賠償、生活再建支援、地域再生に向けた課題について検討を進めています。 また、喫緊の課題である中間貯蔵施設の設置、搬入をめぐる問題、営業損害などの賠償打ち切り問題についても、調査研究を行なっています。
この共同研究は、2013年9月7日に郡山市で開催された「原発被災者支援シンポジウム」(第56回人権擁護大会プレシンポジウム、福島県弁護士会主催)に登壇した弁護士、研究者の間で、その必要性を確認したことがきっかけとなり、スタートしました。
研究会等の開催経緯は以下の通りです。
- 準備会合 2013年11月17日(日)、郡山市
- 第1回研究会 2014年1月11日(土)、いわき市
- 第2回研究会および聞き取り調査 2014年3月17日(月)、郡山市
- 聞き取り調査 2014年4月5日(土)、川内村
- 第3回研究会および聞き取り調査 2014年4月20日(日)~22日(火)、川内村、郡山市
- 聞き取り調査 2014年4月28日(月)、郡山市
- 聞き取り調査 2014年5月1日(木)、川内村
- 聞き取り調査 2014年5月24日(土)~26日(月)、郡山市、川内村
- 聞き取り調査 2014年7月6日(日)~7日(月)、いわき市
- 第4回研究会 2014年7月20日、東京都内
- 聞き取り調査 2014年7月30日(水)~8月2日(土)、川内村、いわき市、郡山市
- 第5回研究会および聞き取り調査 2014年8月17日(日)~19日(火)、川内村、郡山市
- シンポジウム「原子力災害からの生活再建と地域の復興――住民の円滑な帰還に向けて」2014年9月6日(土)、郡山市
シンポジウムにて報告書配布: 除本理史・土井妙子・藤川賢・尾崎寛直・片岡直樹・藤原遥「原子力災害からの生活再建と地域の復興――旧緊急時避難準備区域の実状を踏まえて」OCU-GSB Working Paper No.201409、2014年9月6日
- 聞き取り調査 2014年9月7日(日)~8日(月)、川内村
- 第6回研究会および中間貯蔵施設地権者等の聞き取り調査 2014年10月30日(木)~11月1日(土)、福島県内
- 報告書作成: 除本理史・礒野弥生・渡辺淑彦・頼金大輔「中間貯蔵施設をめぐる問題点と課題」OCU-GSB Working Paper No.201415、2014年12月26日
- 緊急シンポジウム「中間貯蔵施設の問題点と課題を考える」2015年2月7日(土)、いわき市
- 第2回緊急シンポジウム「中間貯蔵施設の問題点と課題を考える――住民・地権者の権利保護と将来の地域再生を見据えて」2015年5月17日(日)、会津若松市
- 聞き取り調査 2015年5月18日(月)、会津若松市 事業者の損害について
- 聞き取り調査 2015年6月5日(金)、いわき市 事業者の損害について
- 第7回研究会 山川充夫先生(帝京大学教授、福島大学客員(特命)教授)のご講演「原災避難者の生活再建」2015年6月28日(日)、立教大学
- 研究成果出版: 除本理史・渡辺淑彦編著『原発災害はなぜ不均等な復興をもたらすのか――福島事故から「人間の復興」、地域再生へ』ミネルヴァ書房、2015年6月30日
- 第8回研究会 2015年7月3日(金)、東京都内
メンバー(暫定); *は事務局
礒野弥生(東京経済大学)
尾崎寛直(東京経済大学)
片岡直樹(東京経済大学)
高木竜輔(いわき明星大学)
土井妙子(金沢大学)
藤川賢(明治学院大学)
堀畑まなみ(桜美林大学)
除本理史(大阪市立大学)*