日本環境会議(Japan Environmental Council:JEC)・『環境と公害』では、『環境と公害』の特集テーマに関連したセミナーを随時開催しています。以下では、開催済みのセミナーの録画ビデオと開催予定のセミナーの参加申込リンクを公開します。
テーマ:「阪神大震災30周年アスベスト被害の再検証」
2025年1月17日で、阪神・淡路大震災から30周年を迎えた。30年前、地震発生から神戸の中心街では、ビルの解体工事に伴って、粉じんの発生が社会問題になった。1か月後、中地らの調査で、吹付アスベストのある建物の解体工事現場周辺で、高濃度のアスベスト飛散を確認した。環境庁の調査でも神戸一帯で、アスベストの気中濃度が全国平均より高濃度であることが分かっている。震災から30年を経、解体工事に携わった労働者7名がアスベスト関連疾患で労災認定を受けている。アスベスト救済法の申請者アンケートから阪神大震災を経験したと答えたものが19名出てきている。アスベスト関連疾患の潜伏期間が長いことから、今後も阪神大震災によるアスベスト被害者が増加する可能性がある。阪神大震災後、東日本大震災でも解体工事に伴うアスベスト飛散が問題になった。災害廃棄物を分別処理する過程で、仮置き場におけるアスベスト飛散が問題になっている。
一方、阪神大震災を契機に、復旧復興作業に従事するボランティアの活躍が増加している。ボランティアも解体作業に従事する可能性があり、粉じんを吸わないように注意する必要性が指摘されている。
本特集の論文執筆者、座談会参加者から内容を報告していただき、課題を明らかにする公開講座をオンラインで開催いたします。参加希望者は以下のURLから、事前に参加登録をお願いします。
日時: 3月10日(月)、17日(月)、24日(月) 午後6時から7時30分
申込: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_Sn2g07yfSuaRE-t5-N6Kqg
内容:
第1回 3月10日(月):「阪神・淡路大震災時のアスベスト飛散状況の再検証」
中地 重晴(熊本学園大学)
第2回 3月17日(月):「阪神大震災のアスベスト被害に関するボランティアアンケート調査から見えてくるもの」
南 慎二郎(立命館大学)
第3回 3月24日(月):「阪神・淡路大震災後の解体作業に関するアスベスト被害とこれからの可能性」
西山 和宏(ひょうご労働安全衛生センター)
連絡先: 中地 重晴(編集同人/熊本学園大学)nakachi@kumagaku.ac.jp
テーマ:「SDGsに逆行する神宮外苑再開発」
本セミナーでは、『環境と公害』52巻3号(2023年1月号)の特集に基づき、神宮外苑再開発計画の問題を論じます。
【開催の趣旨】
危機的な状況の神宮外苑。2023年1月、日本イコモスの「虚偽報告が多数」との指摘にも関わらず評価書は公示され着工。第二球場の解体工事が進み、9月には樹齢100年のものを含む樹木伐採が始まります。これは国民全てにとって重要な問題です。都市生活のQOLを損なってしまい基本的人権にも関わります。このままでは、日本中の都市公園に開発の手が伸びてしまいます。 都市において、100年もかけて育った樹木は貴重です。公共空間である神宮外苑の樹木は戦火の中でも生き残った、東京都心のレガシー。全国からの献金、献木、勤労奉仕で創られただけでも貴重ですが、加えて100年の間、守られ育てられてきたという歴史があります。 この歴史的な価値を尊重するのが、SDGsです。事業者はいずれも、SDGsの推進をと言っています。ならば、この100年間の重みはわかるはずです。イチョウやケヤキなど、数百年も育つ樹木を伐採するのは理がない。レガシーをと都知事が言うのなら、これを守るべきです。しかも、樹木は保存して、ラグビー場も野球場も改修する案が複数出されています。これらに目を向けないのは合理性に欠けます。あまりにも不透明な進め方です。
共催: 千葉商科大学
登壇者:
石川幹子(中央大学研究開発機構教授、東京大学名誉教授)
大橋智子(建築家)
ロッシェル・カップ(経営コンサルタント、神宮外苑問題の署名活動代表)
原科幸彦(千葉商科大学学長、東京工業大学名誉教授)
録画: https://youtu.be/HfgPceKSoBs
テーマ:「大深度地下問題の現状と課題」
本セミナーでは、『環境と公害』52巻1号(2022年7月号)の特集に基づき、大深度地下問題の現状と課題を報告します。
プログラム:
13:30 はじめに 礒野弥生(東京経済大学名誉教授)
13:40 丸山重威(ジャーナリスト・東京外環道訴訟原告)
「東京外環道における大深度地下問題の現状と課題」
14:10 浅岡美恵(弁護士)
「北陸新幹線の大深度地下の課題・大深度地下計画と環境アセスメント」
14:40 窪田亜矢(東京大学・特任研究員)
「大深度地下事業という公共事業の課題:都市計画の立場から」
15:10 樋渡俊一(弁護士・田園調布リニア工事乱訴訟原告代理人)
「大深度問題の法的課題」
15:40 上田昌文(市民科学研究室)
「大深度地下工事と振動・低周波音被害」
15:50 質疑
16:15 終了
録画: https://youtu.be/oaIfMm-_zn8
テーマ:「脱炭素実現に向けて」
本セミナーでは、『環境と公害』52巻1号(2022年7月号)の特集に基づき、今後重要となる「脱炭素実現に向けて」についての課題を報告し、ディスカッションします。
プログラム:
1)大島堅一(龍谷大学)
趣旨説明:「危機時代のエネルギー・環境政策の課題」
2)増井利彦(国立環境研修所)
「カーボンプライシング」
3)榎原友樹(E-Konzal)
「地域における脱炭素の課題」
4)飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)
「脱成長 vs グリーン成長論争を越えて:脱炭素とエネルギー大転換は世界をどこに導くか」
5)高村ゆかり(東京大学)
「1.5℃目標を目指す世界と日本の課題」
参加申込: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_lwG7ifznTnueiNMvsDlhIQ
テーマ:「アスベスト被害救済と建設アスベスト訴訟最高裁判決の意義」
本セミナーでは、『環境と公害』51巻3号(2022年1月号)の特集に基づき、昨年(2021年)5月の建設アスベスト訴訟最高裁判決(その後の、国と被害者らの「基本合意」、建設アスベスト給付金法の制定を含む)の意義と課題を明らかにし、同時に、現在の石綿健康被害救済法に代わるアスベスト被害者救済のための新しい制度についての提言を行いました。
報告1:
水口 洋介(弁護士・建設アスベスト訴訟首都圏弁護団)
「建設アスベスト訴訟の到達点と課題」
報告2:
吉村 良一(立命館大学名誉教授)
「アスベスト被害救済のあり方――新しい制度の提言」
補足発言:
古谷 杉郎(石綿対策全国連絡会議事務局長)
「アスベスト被害の実態と救済の課題」
録画: https://youtu.be/iCCloxzOA_A
テーマ:「日本における放射性廃棄物最終処分問題」
報告1:
中澤 高師(東洋大学社会学部)
「核のごみ地層処分場の文献調査と地域社会――寿都町と神恵内村の比較から」
報告2:
下山 憲治(一橋大学大学院法学研究科)
「高レベル放射性廃棄物の最終処分と法」
録画: https://youtu.be/iyZ3mDqR28s