第26回東日本多重災害復興再生政策検討委員会全体会合
 2015年11月20日(金)14:00-17:30 株式会社農林中金総合研究所大会議室にて
 第26回の全体会合では、今野秀則氏(「津島原発賠償訴訟原告団」代表)から、浪江町津島地区被災住民による原発賠償訴訟について報告が行なわれ、フロアとの間で質疑応答・意見交換がなされた。その後、今後のJEC検討委員会の取り組み方針とスケジュール案について、寺西委員長より説明が行なわれた。
(文・写真:石倉研)
報告:今野秀則氏(「津島原発賠償訴訟原告団」代表)
「原発事故で避難を強いられ」
 東日本大震災および福島第一原発事故が起きた後、浪江町では、町独自の判断で避難を行ない、津島地区の住民約450戸・1400人も県内外への避難を行なった。ただし、私は直感的に金輪際立ち入りができないと思い、代替不能なアルバムだけは避難直後に引き返して持ち出した。
 避難後は、年1、2回地区住民が集まる機会を設けているが、大半の住民はこの機会、もしくは亡くなった人の葬式程度でしか会う機会がないのが現状である。将来の見えない状態で、ふるさとに戻ることをあきらめている人も増えてきている。
 津島地区は帰還困難区域で、除染計画もなく、今後の見通しや計画は明確に示されていない。2014年11月に地区住民が結束して「完全賠償を求める会」を結成し、これを母体にして2015年5月に「福島原発事故津島被害者原告団」を結成した。9月29日には、第1次原告団が福島地方裁判所郡山支部に提訴を行い、現在は第2次原告団が提訴に向けて準備を進めている。
 ふるさとが消滅の危機にある中、高齢者への聞き取りも実施しており、生活歴や原発事故避難状況の記録として、『3.11ある被災地の記録』(福島県社会福祉協議会、2014年)を作成した。当たり前ゆえに誰も記録してこなかった事柄であり、今後もふるさとの記憶を記録していきたいと考えている。
浪江町津島地区被災住民による原発賠償訴訟について
報告される今野氏

総合討論
 今野氏の報告を受け、フロアとの間で質疑応答・総合討論がなされた。現在の原告団の活動内容や、事故後の避難状況、地域の文化や歴史を残していくための取り組みなど、様々な点について意見交換がなされた。特に、ふるさと喪失をどのように本質的に理解してもらうかが課題であるということが強調された。
 総合討論の後、寺西委員長より、JEC「原発被災白書」(仮称)プロジェクトの提案が行なわれ、フロアとの間で意見交換が行なわれた。最後に、今後のスケジュール案についての確認が行なわれ、第26回の全体会合は閉会となった。


 
JEC 日本環境会議