第9回東日本多重災害復興再生政策検討委員会全体会合
 2012年7月27日(金)15:00-17:00 航空会館(財団法人日本航空協会)504会議室にて
 第9回の全体会合では、まず、高橋敏彦氏(岩手県北上市市長)が、自治体連携による沿岸被災地支援の実態や課題について講演しました。その後、高橋氏とフロアとの間で質疑応答・意見交換が行われました。
(文責・写真:藤谷岳)
講演:高橋敏彦氏(岩手県北上市市長)
「自治体連携による沿岸被災地支援―北上市が実施する応急仮設住宅支援より―」
 高橋氏は、北上市が実施してきた2つの沿岸被災地支援事業を紹介しました。一つは、きたかみ震災復興ステーション事業です。これは、避難者同士のつながりと、避難者と支援者のつながりを促進する場を作っていこうというものです。もう一つは、沿岸被災地仮設住宅運営支援事業です。これは、仮設住宅での生活で生じる様々な課題を避難者自らが自立的に解決できるように支援することを目的とし、支援員という新たな雇用の創出や、限られた数の既存職員を他の復興事業に回すことを可能にすることもねらいとされています。行政だけでは対応が難しい数多くの課題に直面しつつも、市内外で活躍するNPOの力を引き出し、専門家や地域の企業の協力も得ながら、支援体制の一層の充実化を進めていることが詳しく説明されました。
北上市が実施する支援事業の実態や課題について
スライドを用いながら説明する高橋氏
 
質疑応答と総合討論
 フロアからは、まず、被災自治体から支援自治体への人口流出が問題として生じてくるのではないかという質問が出されました。これに対して、高橋氏からは、支援事業について自治体間で協定を結んで文章化していること、住居や雇用の提供の仕方を期間限定にするなどの工夫をしていることが説明されました。次に、事業の資金・財政面についての質問が出され、国の緊急雇用創出事業による臨時交付金を受けることでやりくりしているとの説明がありました。さらに、自治体連携で事業を行っていく際に県にはどういった役割が期待されるのかという質問も出され、県には自治体が集まる場を作って情報を提供するという重要な役割があることが確認されました。その他、第3回の全体会合のテーマであった「ペアリング支援」との比較からの論点提起もなされるなど、活発な総合討論となりました。
今回も様々な分野からの参加者が集まり
充実した総合討論となった
 

 
JEC 日本環境会議