第5回東日本多重災害復興再生政策検討委員会全体会合
 2011年12月10日(土)13:30-15:30 航空会館(財団法人日本航空協会)201会議室にて
 第5回の全体会合では、まず、原田純孝氏(中央大学法科大学院教授)が、専門である土地法制度の観点から、東日本大震災後の復旧・復興・再生における課題について講演しました。その後、講演を受けて、原田氏とフロアとの間で質疑応答・意見交換が行われました。
(文責・写真:藤谷岳)
講演:原田純孝氏(中央大学法科大学院教授)
「東日本大震災・大津波後の復旧・復興・再生と土地法制度の課題
−農地・農村、宅地・農地の一体的復興の側面を中心として−」

震災からの復興・再生における土地法制面の実態や問題について話す原田氏
 原田氏は、まず、今回の震災後の復旧・復興の速度が遅いことの諸要因を整理しました。そして、既存の土地利用の区域区分や土地所有権をふまえながら、復旧・復興の基盤としての「物理的な土地」としての同一性・一体性をも考える視点をもち、そのための制度的関与・介入の仕組みを考えていくことが、議論すべき論点であり、今後の方向性として重要であると述べました。次に、これまでに考えられてきた農地・農業基盤の復興設備事業、土地改良法特例法の概要と課題、土地利用調整の課題を、具体例を交えながら紹介しました。続いて、復興特区法がどのような問題のどこをどのように解決しうるか、原田氏の評価を交えながら論点を提示しました。最後に、さらなる論点として、震災復旧・復興事業の「公共性」や震災・津波被害の特殊性に関する問題提起を行いました。
質疑応答と総合討論

 原田報告を踏まえ、全体討論でも多岐にわたる論点が提示されました。
 なかでも、復興事業の実施に必要な許可手続きを復興整備協議会でワンストップ処理することに関連して、個別の法律における許認可との関係、多数の自治体間で共同して問題を処理していかなければいけない状況における市町村の役割と県の位置付けなどについて、盛んに議論されました。
 また、環境と土地利用の観点からみたときの環境アセスメントの位置付けや、震災・津波被害の特殊性、復興事業の公共性に関しても意見交換がされました。

 
JEC 日本環境会議