第4回東日本多重災害復興再生政策検討委員会全体会合
 2011年9月10日(土)14:40-17:00 航空会館(財団法人日本航空協会)201会議室にて
 
 第4回の全体会合では、小林光氏(慶応義塾大学教授・前環境省事務次官)が、前環境省事務次官としての長年の経験を踏まえながら、東日本大震災後の復興・再生に向けて、いま環境行政に突きつけられている課題について講演しました。それを受けて、小林氏と参加者とで質疑応答・総合討論が行われました。
(文責・写真:藤谷岳)
講演:小林光氏(慶応義塾大学教授・前環境省事務次官)
「東日本大震災後の環境行政を考える」

今、環境行政が果たすべき役割について話す小林氏
 震災および福島原発の事故が環境行政に突きつけている課題として、小林氏は次のような点を挙げました。
 まず、放射能汚染が汚染問題の一つとして環境省が取り扱う問題として明確に位置付けられてきたことです。これについては、汚染された廃棄物の処理および土壌等の除染等のための特別措置法を軸としながら動き始めているということを説明しました。
 次に、原子力発電所が規制の対象となったことです。原子力安全庁が環境省の外局として設置されることになり、規制の利用の分離、そして規制の大幅な見直しが図られていることについて話しました。
 また、地球温暖化問題とエネルギー問題としても多くの課題が突きつけられており、これらに対応していくためには、技術や制度のみならず、街の姿も大きく変わっていくことになるであろうという見解を提示しました。
質疑応答と総合討論

 その後、小林氏の講演を踏まえた質疑応答とディスカッションが行われました。
 特に、原発に関する政策のアクセルとブレーキの問題、原子力安全庁の設置プロセスについて、質問や意見が集中しました。また、放射性物質によって汚染された廃棄物の処理と除染等の実態、方向性、およびその責任のあり方についてもさかんに議論が行われました。
 そのほか、政権交代と幾度たる首相の交代のなかで小林氏が環境省事務次官として経験し感じてきたことについても質問が寄せられ、環境行政が抱える課題について幅広く討論されました。
 最後に、本委員会の取り組みの進捗状況と今後の予定について寺西委員長が説明し、閉会となりました。

 
JEC 日本環境会議