「宝の海」と呼ばれた有明海が、いま大きな危機に直面しています。
特に有明海奥部では、赤潮と貧酸素水塊の頻発で海底に生息する底生動物(ベントス)が死滅し、それを食料とする魚介類も大幅に減少することで、深刻な漁業不振と生物多様性の衰退を引き起こしています。冬季の赤潮の発生は海苔養殖にも重大な悪影響を及ぼしています。
この問題について、地元では、諫早湾干拓事業の影響を検証するための「開門調査」を求める人々と、干拓地での農業保護などの観点から「開門調査」に反対する人々との間で、意見の対立が続いています。司法の場では、別個の裁判で両者の主張が共に勝訴し、確定するという異例の事態になっています。しかし、ここでの意見対立には、諫早湾干拓事業や「開門調査」についての誤解に基づくものがあるように思われます。そのような誤解を解くために、対立する人々が率直に意見を述べ合う機会をつくる必要があります。
しかし、国(農林水産省)は、「開門調査を実施しないこと」を前提とした有明海再生事業(人工的な種苗の生産や放流などの対症療法的なもの)だけに固執し続けています。
今回の公開シンポジウムでは、まず、これまで「開門調査」の必要性を主張してきた研究者の意見を聞きます。その後の総合討論では、かけがえのない有明海の豊かさを次の世代に伝えたいという視点から、これまで対立してきた人々がみんな納得できるような解決策を探りたいと思います。
開催形式は、会場参加とオンライン参加のハイブリッドですので、一般の方のご参加を広く募集します。
●日 時 2024年3月9日(土)13:00〜17:00
●会 場 佐賀大学 本庄キャンパス 経済学部4号館 5番教室
※オンライン参加の場合は、発言されたい方はZoom(こちらから要申込)、視聴のみでよい方はYouTubeライブ配信をご利用ください(YouTube配信のURLがこちらに変更になりました。申し訳ありません)。
●参加費 無料
●参加登録フォーム こちらのフォームからご登録ください
※オンライン参加の方は必ずご登録ください。参加URLなど詳細は、登録後すぐに自動送信メールでお伝えします。
会場参加は事前登録なしでもご参加いただけますが、準備の都合上、できるだけ登録をお願いします。
●プログラム
13:00 開会挨拶 樫澤秀木(佐賀大学教授)
13:10 講演1: 佐藤正典(鹿児島大学名誉教授)「有明海とはどんな海か、開門調査とは何か」
13:40 講演2: 堤 裕昭(熊本県立大学学長)「有明海の潮流と生態系との関係」
14:10 講演3: 高橋 徹(元・熊本保健科学大学教授/有明海再生NET)「諫早湾干拓調整池の問題点」
14:40 講演4: 佐藤慎一(静岡大学教授)「有明海奥部のベントス群集の経年変化」
15:10 休憩(この時間帯に会場・オンライン参加者からのご質問・ご意見の受付をおこないます)
15:25 コメント1: 菅波 完(有明海漁民・市民ネットワーク)「開門・非開門のどちらでもない「第3案」の提案 農業+防災+汽水生態系再生を目指す柔軟な議論のたたき台として」
15:40 コメント2: 開田奈穂美(福岡大学講師)「諫早湾干拓事業に対する地元住民の認識」
15:55 総合討論 「誰もが納得できる解決策を探る」
16:55 閉会挨拶
17:00 閉会
●主催 “宝の海”の再生を考える市民連絡会(略称:宝の海市民連)
※お問い合わせ先は以下のチラシに掲載しております。
※シンポジウム当日に配布する印刷冊子(要旨集、白黒印刷)のPDFファイル(カラー版)は、事前にこちらからダウンロードできます。当日、会場参加できない方もどうぞご活用ください。